閉経後に多い「委縮性膣炎」がホルモン治療の副作用でも!その症状と対処法

乳がんのホルモン治療の副作用に、「委縮性膣炎」というものがあります。

「委縮性膣炎」は女性ホルモンの低下で起こる更年期障害の一つです。

別名「老人性膣炎」などと言われ、女性としてはちょっと悲しくなるよう名前ですね。
この委縮性膣炎、乳がんのホルモン治療では、抗エストロゲン剤によって女性ホルモンが激減する為に起こる副作用です。

委縮性膣炎とは

委縮性膣炎とは、女性ホルモン(エストロゲン・卵胞ホルモン)の分泌が減少する閉経後(あるいは更年期の最中)に起こる疾患です。

膣や外陰部が委縮し膣壁はコラーゲンが不足し薄くなります。
膣内の善玉菌【デーデルライン桿菌80】などが減少し、反対に悪玉菌が増えるので、バランスが崩れ自浄作用が低下します。
その為雑菌が繁殖しやすくなったり傷がつきやすくなって、炎症が起こり様々な症状が現れます。

委縮性膣炎の症状

委縮性膣炎には次のような症状があります。

  • 膣の乾燥
  • 膣のヒリヒリした痛み
  • 外陰部のかゆみ・違和感
  • おりものの増加・おりものの悪臭
  • 性交痛
  • 性交時出血
  • 排尿痛
  • 尿失禁
  • 尿路感染にかかりやすい

このように、委縮性膣炎は非尿生殖器も委縮する為、泌尿器の症状もいくつか現れる疾患です。
実は私も最後の尿路感染以外の症状があり、委縮性膣炎と診断されました。
リュープリンはすでに数年前に終了し、現在ノルバデックスのみの服用になったにもかかわらずです。
それにカンジダ症にも罹患し、何か月も繰り返していました。なぜこんなに治らないのか不思議だったのですが、自浄作用の低下が原因だったようです。

委縮性膣炎の治療

委縮性膣炎に罹っていても、全ての方が症状を訴えるわけではありません。
症状がなかったり、あっても気にならなければ治療の必要はないのですが、症状があり苦痛な場合は治療が必要になります。

その場合、全身に対してはエストロゲン剤の経口薬、パッチ剤、局所に対しては軟膏や膣錠などを用います。
膣剤は局所のみに作用する為、症状の程度によりますが、まずはエストリール膣錠の処方が多いのではないでしょうか。

乳がん経験者へのホルモン剤補充は?

 

乳がん経験者は注意!
ホルモン剤(エストロゲン剤)の服用は禁忌です。

皆さんもご存じの通り、乳がんの罹患経験のある方は、ホルモン剤を服用することは出来ません。
ホルモン陽性の乳がんは女性ホルモンのエストロゲンをえさに増殖します。
乳がんのホルモン治療は、この女性ホルモンをおさせる抗エストロゲン剤を服用しているわけですから、女性ホルモンを補うホルモン治療は出来ないのです。

エストリール膣錠は場合によってはOK

経口投与するホルモン剤は絶対に禁忌なのですが、膣剤のエストロゲン剤【エストリール膣錠】はどうなんでしょうか?

実は、エストリール膣錠の添付書にも、乳がん罹患者は禁忌だと書かれています。

ですが、これは医師の考えによるところもあります。
今までに2度、私は委縮性膣炎の症状で受診したことがあります。1度目はなんと、エストリール膣錠を処方されたのです。

「局所に作用するだけだから大丈夫」と。

局所とは言え本当に大丈夫なんだろうかと不安でしたので、何度も婦人科医に確認したのですが、

局所だから大丈夫

言われ、、、
結局症状がつらかったのでその時は使いました。1週間連続で就寝前に膣に入れるのですが、1週間も経たずに症状はピタっと治まりました。
不安でしたので、乳腺外科の診察の時に主治医に訊ねたところ、婦人科医と同じ見解で、

局所だけなので、気にしなくていいですよ

という回答でした。

その後二度委縮性膣炎の症状で相談したのですが、2度目は「乳がんだから使わない方がいい」と言われました。
3度目は私から「以前エストリールを処方されたのですが」と言ってみたところ、同じように「局所だから大丈夫ですよ~処方しましょうか?」と訊かれたので、ひどい時に使おうと処方してもらいました。(二度目はなんだったの(笑))

婦人科医、乳腺外科医、それぞれ医師によって考えも違うかも知れませんので、もし症状がつらい場合は、罹りつけの病院で訊ねてみることをお勧めします。

細菌性膣炎を起こしている場合

委縮性膣炎が原因で細菌に完成し膣炎を起こしている場合、抗生物質の膣錠が処方されます。

処方される膣錠は、クロマイ錠や、フラジール膣錠です。
フラジール膣錠は成分名を「メトロニダゾール」と言い、トリコモナス膣炎の治療に使われている薬剤です。ですが細菌性膣炎にも用いられるようになりました。

私は両方使ったことがありますが、フラジール膣錠は病院で挿入してもらって30分くらい経った頃からヒリヒリと痛くて痛くて夕方洗浄しに再診した、という過去があります。
注意が必要と言っているのではなく、人によって合わない場合もありますので、その場合は我慢せず再度受診し相談してください。
ちなみにクロマイ膣錠はへっちゃらでした。1週間処方されましたが3日もすると症状が緩和されましたよ。

乳がん経験者の委縮性膣炎の緩和

エストロゲンを補充する治療が出来ないとなると、もう成す術もないのかというとそうではありません。

ヒリヒリ感、シカシカ感には軟膏を

ヒリヒリ感があるのは膣前庭や、皮膚が弱ってかぶれやすくなってる外陰部だと思います。
なのでその部分に軟膏を塗るのをお勧めします。

塗る軟膏は、弱いステロイドまたは、非ステロイド剤の「コンベック」などが良いと思います。
私はステロイドは塗る勇気がないので、コンベックを愛用しています。

コンベックは“鎮痛消炎剤”なので、炎症を鎮めるのと痛みを取る作用があります。
ステロイドに比べると作用は弱いですが、痛みもなくなり炎症も数日で治まってきます。
それにコンベックはかゆみにも効果がありますので、シカシカした刺激のあるかゆみにも効きますよ。

ヒリヒリ感やシカシカ感がある方は一度婦人科で相談してみてください。

膣乾燥、性交痛には潤滑ゼリー

膣が乾燥し性交痛がある場合は、潤滑ゼリーの使用がお勧めです。
ですが、その潤滑ゼリーにかぶれることもありますので、選ぶ時は敏感肌用なのを選ぶと良いでしょう。

さらに女性のデリケートゾーンの為に作られたゼリーがあります。
潤滑ゼリーとしても使えますが、まず膣内の為に作られたゼリーなんです。
性交時にだけ使うのではなく、週2くらいで日頃から使うことによって健康な膣内に改善が出来るというのも。
この潤滑ゼリーの特徴は、膣内のpHバランスを整える乳酸が配合されている点です。

そういったことから、アダルトショップやドラッグストアで販売しているゼリーなどと大きな違いがあるのです。
もちろん敏感肌用であれば肌には優しいのでいいのですが、この潤滑ゼリーは膣内の乾燥を防ぐという作用もあるのです。

>>ウェットトラストゴールドの詳細はこちら

なお、性交痛は性交痛でも、すでに炎症を起こして痛みが出ている場合もありますので、その場合は性交を控えるか婦人科を受診する方が良いでしょう。
性交時出血も、婦人科に受診すると膣内を消毒してくれますので、心配でしたら受診するのをお勧めします。

おりものの増加に布ナプキン

委縮性膣炎になると、膣に雑菌が繁殖しやすくなり、おりものが増加します。
細菌感染していると黄色のドロッとしたおりものだったり、水のようなしゃびしゃびのおりものだったりします。

おりものをそのままにしていると、そのおりものでさらにかぶれてしまうことがあるので、
おりものシート(パンティライナー)を使用する方も多いと思います。
ですが、女性ホルモンが減少していると肌が敏感になっていると、おりものシートにかぶれることもあります。

そういった時に、肌触りのいいオーガニック素材で出来た布ナプキンが肌に優しいのでお勧めです。尿失禁がある場合も良いですね。

タイトルとURLをコピーしました